こん☆たの

こんなことをたのしんでます、というブログ

美大受験と美大予備校は芸術家を育てる場ではない

えっ、芸術家を育てないの?!


私はかつて美大受験の為に美大予備校へ通ってました。
結局、現役と半年の浪人で挫折し美大への入学はかないませんでしたが…。
もう十年以上前のことですが、大筋は変わってないと思いますので
美大受験を目指して感じたことを書いてゆきます。
※私が目指していたのは油絵科です。
他の日本画科やデザイン科などについてはここに書かれているのとは
違ってくると思います。

まず、美大に受かるのは「上手いから」ではなく
「受かる絵」を描くからです。
私の時はそうでした。

「受かる絵」というのは
美大の「教授の好みの絵」や「受かりやすい絵のトレンド」があって
そういう絵を描くことが必要です。信じがたいですけど。
美大予備校でもそのような絵を描くように指導されます。

※補足 受かるには一定のレベルの「上手さ」は必要です。
どんなにトレンドに沿った絵でも
箸にも棒にもひっかからないレベルでは不合格です。。

自分の描きたい絵や感覚と、指導される方向が合ってるならいいですよ。
あとはなんのこだわりもない人とか。

でも指導される方向と合ってないとかなりキツイです。
ルノワールにバキバキの抽象画を描かせるようなキツさです。

で、私は合ってないクチでした。
しかも私が受験した時は予備校の指導内容と
本番の受験の絵のお題がかなり違う方向だったというオチ。
講師たちも「今年はこんなことになるとは」と言ってました。

むしろ絵が下手くそで
自分の絵に対してなんのプライドもこだわりもない人のほうが
逆に美大受験はやりやすかったりします。(受かる受からないは別として)
予備校の指導を素直に受け入れられるからです。
私がかつて在籍してたクラスでも下手っぴで
ボーっとして絵に思い入れがそれほど無さそうな人が芸大に合格した例もありました。

絵を描くのが好きで人から絵を褒められた経験が多く
自分の絵に対する思い入れが強い人は
それが受験ではアダになるのです。
思い入れやこだわりがあるせいで指導をなかなか受け付けられないからです。

だから「美大にチャレンジしたいけど下手くそだし」と思ってる人は
逆に下手くそが受験では強みになりえますよ。
尻込みせずトライしてみましょう。
受かりますよ、という保証はできませんが…。

美大に受かる絵」を一斉に指導するのは
美大予備校」なのだからそれはいいんです。
でもそれが「芸術」とは言い難い。
当時の講師もはっきり言ってました。
「他の予備校では”将来的に作家になることを見据えた指導”と言ってたけど
何言ってんだと。うちは違う。うちは芸大生を育ててるんだ。」と。

美大受験は以下の人なら頑張りやすいでしょう。
・予備校の指導内容と自分の絵の方向性が合ってる
・絵に対するプライド、思い入れ、こだわりがない
・受験は受験として割り切って絵を描ける